デザインと氾濫

可士和

Q-FRONTビルが出来上がった当時。

自慢げにこれが「世界一の立地だよ」と紹介するも

「環境破壊だね」

と冷めた応えをもらって、熱くなりすぎていた

己に気付いたことが、かつてあった。

夜、ガラス面の内側に納めた発光ダイオードから

放たれる光は

まさしくスクランブル交差点を

不健康な色へと染め上げてしまう。

それは「環境破壊」のなにものでもない。

反省。

最近、街で見かけることがないほど

可士和デザインに出会う。

その落ち着き。冷静さ。

どことなく型にはまることのない斬新さ

でも、懐かしさ。

売れっ子には売れっ子なりの理由がある。

しかし街にあふれた今。

その個性は、葛西デザインのような

衝動の源とはならない。

あくまでもデザインとして

そこに存在しているのかもしれないが

何も響かない。

負け犬の遠吠えなのかも知れないが

何も響かない。