親父の教育方針

息子には最高のご馳走と最低の飯を食べさせる
というのが親父の教育方針だった。
何故かというと
最高と最低を知っていれば今己がどの程度の生活レベルか
毎日、食べながら実感できるというもの。
でもCafe飯なんかのような豪華なのか、ジャンクなのか
分からないような料理が出てきて、その進化系には
応用がきかない。残念ながら。
しかも、松屋の定食なんかで晩御飯を済ませているから
全く自覚がないというか。
ベルリン壁崩壊を記念してバーンスタインがベートーベン
第9をベルリンフィルハーモニーを引き連れて、
門の前での演奏を衛星生中継に魅入ってしまった少年は
すっかりクラシック漬けになった訳だが
ノーベル賞を受賞している人の統計として少年時代から
クラシックを聴いている家庭の人が8割を超えるらしいとか
どうでもいい薀蓄を教えてもらいつつ、
どんどんクラシックCDを買ってくれた。らっきー。
で、バーンスタインカラヤンのベートーベン第9は
第3楽章の間の取り方が全く違うんだね。なんていったら
「いよいよ本格的になってきたなぁ。」
なんて目を細めてくれたのが懐かしいな。
とはいえ、今はばりばりロック聞きながら明日の会議の
資料をせっせと作っていたりする。
クラシックのCDコレクションは家で埃かぶってたりする。あぁ。
そんな、こんなで大人になって実家に帰らず
だって帰ったって、ごくごく日常的で非生産的だし。
ものすごく一般家庭だし。
なんて言っちゃったら
寂しそうな「そうか」なんて返事。
ごめん親父。でもその普通が大事なんだよな。
三日月が高層ビルよりも下で佇んでいる夜に
ふとそんなシズル*1を思い出してみた。

*1:SIZZLE。本来は「フライパンで肉を焼いたり油で揚げるときに出るジュージューという音」の意。転じて「まるで飛沫を浴びてるかのような臨場感」「ほとばしる現実感」という意味。