ああ、美しき30代。

収録

PIRAMIの部屋でドキュメンタリー収録。
いつもは撮る側なのに、今日は撮られる側に。
散髪したての頭から汗が出る僕の顔を見るなりPIRAMIは
「何緊張してんの?」とちゃちゃを入れる。
デジオと身体性のお話。PIRAMIを取り巻く
人々のドキュメンタリーに滑り込んだと言おうか。
滑り込まされたと言おうか。
 
相変わらずうまくしゃべれない。
いつものICレコーダーと僕だけの世界に
慣れてしまった為か、見られることに違和感を覚える。
本来あるべき空間がぎこちない。
実際、デジオは自分の恥をいろんな人々に
鍵のかかっていない扉のごとく開放している
わけだけど。リアルに聞かれていると
ものすごく恥ずかしくてどーしようもない。
ただ、まったく緊張しなくなる40代が
あるとするならば、この緊張感はごくごく
頼もしいものとなる。緊張している自分を楽しめる
年代になった。つまりはそれだけ年をとった。
 
年をとると心はキュンとしなくなる。お腹はグゥグゥー
やけに鳴るのだけど。心はキュンともシュンとも鳴らない。
鳴ってくれない。髪の毛もどんどん抜ける。思わずデジカメ
で後頭部を撮影してみる。あちゃー。耳の後ろの汗を
匂ってみる。くちゃい。神様。ありがとう。
この人間らしさ。ありがとう。生きるってこーだよ。
だから背伸びする。思いっきり背伸びしてみる。
するとかすかにキュッとする予感。きっと鳴ってくれる。
鳴ってくれるはず。そー信じて今日も背伸びする。