ありそうでないもの

深澤直人さんの「ありそうでないもの」展の大橋歩さんとの
「なさそうで、あるもの?」トークイベントに行くメモ。
 
やはり深澤直人さんはおもしろい。
http://media.excite.co.jp/ism/047/2n_fukasawa.html
http://www.plusminuszero.jp/index.html
 
製品は壁か身体に近づく。
冷蔵庫、プラズマ・液晶テレビなど大型家電は壁寄りに
デザインされ、携帯電話、iPodなどはより身体に近づいた
デザインとなってきている。
商品そのものが見えなくなってきているから
なかなか買い換えない。だから製品をデザインによって
露出させること。つまり露出文化が大事なのだ。
家電量販店に行くとワクワクするのは
日常見えなくなってきている製品が中央で露出されている
からである。そんな非日常に我々は目を輝かせている。
 
いいものをつくる。変えるものをつくる。
とても難しいこと。むしろ出来ないこと。(売れない)
注目されているものにデザインすることは難しい。
注目されているからそこには様々な価値観が混在し、
これ!というデザインはなかなか認識されない。
そこで、注目されていないものにデザインを加えてみる。
例えば加湿器。今まで日の当たることがなく、
どーでもいいと人々が思っている領域。
誰も興味のないものにこれ有でしょ。
こういうものが欲しかったんじゃないという問題提起。
すると不思議と注目される。(売れる)
 
アートとデザインは違う。
アートとは誰かにどう思われようが構うことなく自由に
自己表現をする行い。だから突き抜けていなければならない。
やり切ることこそアートである。
デザインとは誰かのためにものをつくる行い。誰かに対して
ものをつくるからには、共感してもらう責任がある。
だからアートとデザインはきっちり切り分けなければならない。
デザインはその誰かに受け入れてもらえることを
確信していなければならない。ラーメン屋がうまいラーメンを
自信を持ってお客様に差し出すように。自信のないラーメンを
お客様に出すのはデザインではない。
 
かっこいいこととかわいいこと。
かっこいいこととは、かなり嫌われる覚悟が必要なものである。
かわいいいこととは、いいもの、キュートなものと2つの
ニュアンスがあるからとても便利で、今の日本はかわいい文化。
かっこつけることはとても難しい。だから最近かっこつけの
デザインがない。だから、突っ走ってかっこよかったやくざ映画
ほとんどない。かっこつけたいのなら中途半端じゃ駄目。
細い路地をフェラーリーで突っ走るぐらいの覚悟が必要。
排気ガスとエンジン音で嫌われる)
 
デザインすることは冗談を言う行いに良く似ている。
冗談を言うとき、タイミングや空気を逃すと駄目。例えば3人いる
状況で冗談を言おうとすると3人の共感部分を狙わなければならない。
3人がみんな笑うことのできる確信を持って冗談を言う。
これすなわちデザインすることである。