韓流ついでに日本人は学べ。

The President’s Burber

「大統領の理髪師」を観に行く。
http://www.albatros-film.com/movie/barber/
初日ということもあり大盛況であったが
年齢層が高い。しかもオバサンが多い。
 
何で、オバサンという人種はこうも
話の結末を逐一口にするのだろうかと
イライラした。しかも上映中に。
劇場内にいる観客の誰もが心の中で
分かっている事実を、これまた劇場内にいる
観客の誰もがはっきりと聞き取れる
大きさの声で口にする。言わんでいいことを。
と心のなかで叫びながら、発言者の隣で
うんうん頷く、これまたオバサンにも
うんざりだ。しかし、まるでドリフの
ギャグに笑うさくらのオバサン族の中に
自分がいるんだと思い込むことで、幸い
ソン・ガンホのコミカルな動きにも助けられ、
何とか自制心を保つ事ができた。
 
公開したばかりの映画のことをとやかく
言うつもりはないが、こんなバランスの
いい映画を国が支援する中、撮ることのできる
韓国という国を改めて羨ましく思う。
殺人の追憶」しかり。
今回の「大統領の理髪師」しかり。
韓国現代史において、重く、厳しい側面でもある
軍事独裁政権下の話をここまで真面目に
真正面からエンターテイメントである映画の
題材として取り扱っている。さらには、そんな
圧政の時代だからこそ、国民は人間らしく
一生懸命に逞しく生きていたという事実を
ソン・ガンホをはじめ、役者たちが見事に全身で
表現している。「教科書問題」とやらで、
都合の悪い事実にそっぽを向いているどっかの国は
そんな韓国の姿勢を見習うべきだと心底思った。
 
しかし、なんだか劇場の様子がおかしい。
それは脇役である1人の男性俳優が出てくる瞬間。
先ほどのおばさん族の「うわぁ」と口を広げる
筋肉音が真暗な劇場内にこだまする。この人たちは
何を観に来ているんだと思っていたが。
映画が終わり、パンフレットを手にすると、
その理由が分かった。なるほど、その1人の
男性俳優は「冬のソナタ」に出ているらしい...。
まぁ、観に来る動機が何であれ、良質な映画に
お客様が沢山入ることはいいことである。
日本においてもこんなバランスの良い映画が
早く出てくることを祈りつつ。再びソン・ガンホ
次回作を期待しながら、寒い2月の東京、
最寄駅を目指して小走りした。