ゴッホとシズル

ゴッホの絵を見るたびに思うことだが
このシズル感が堪らなく好きだ。
いまさらゴッホの絵を誉めたところで
自分の無知を曝け出すようなものだから
やめておくが、あえてゴッホの絵を
シズル感と表現するには理由がある。
絵の具の盛り上がり部分の明と暗が何とも
言えぬ光沢とともに、絵にシズル感を
増しているからなのだ。
 
つまり、どんなに印刷技術が向上し
ウォーホルに雑誌「インタビューズ」こそ
究極の芸術だと言わせようが、ゴッホほど
オリジナルにシズル感を与えている画家は
そういない。そんなことを僕が言った所で、
ゴッホ展の混雑ぶりを見れば一目瞭然なのだが。
まぁ、言いたいだけ、書きたいだけなので
許せ。
 
展示としては、ゴッホの時代背景とともに
影響を受けた、与えた作品、実物も含めて
楽しめる内容。特にオランダ語をフランス語
にして描いたという事実。つまりより
多くの人々に見せることを意識していたことや
中国製の宝箱に敷き詰めた2色の毛糸の塊。
色彩の参考にしていたという事実。
別に知らんでも何ら損をしないようだが。
 
まるで、ビートルズも演奏は下手だったんだなぁ
なんて彼らのライブ映像を見て妙に親近感が
沸いてしまったロックミュージシャンのような
気持になったりした。さすがに耳を切り落とす
まではいかないが、ゴーギャンを迎え入れるため
にせっせと拵えた絵なんかは、もうゴッホ
胸キュンを感じずにはいられない。そんな息遣い
が伝わってくる。急げ。
 
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