続 ものすごい夢を見た。
しばらく心ここにあらずでその様子を傍観していると
そのくるりらしき強面の一人が
僕と目線が合ってしまい、にやつきながら
こちらへと向かってくるではないか。(引き続き歌いながら)
僕は、前列の役者たちとは違う。僕は観客だ。
お前、段取り間違っているぞという思いで
精一杯首を横に振るが、とき既に遅し。
僕に向けられたピストルから弾が飛び出し(何故か銃口UP)
それは僕の腹と内臓をえぐる。(何故かスローモーション)
え、演技じゃなかったの。
本当の銃だったの。痛いといっても腹を壊した程度の
衝撃と内臓がぐぅーと軽く痙攣する程度のものだが
確かに弾が入ってきた感触はある。
会場は一瞬静まり返り、全員の視線が僕に向けられる。
若者たちの大袈裟な演技に触発されたのか
僕はその視線に答えるかのように思いっきり喘いだ。
すると大歓声とともに前のステージの真紅のカーテンが
猛スピードで上がり、そこにはなんと「東京」にイントロと
ともにくるりがいる。しかし様子がおかしい。
え、足じゃん。しかもでかい。
なんとステージ上には膝までも入りきらない
巨大な足と、同じサイズのマイクスタンドの足が
どーんと登場している。ステージ全体が足元だけを
クローズアップした映像のごとく、ボーカルの岸田、
ベースの佐藤、ギターの達身たちの3人の足が確かにある。
くるりが巨大化したのか、それとも僕らが
縮小したのか。分からないが観客たちはこれが当たり前のごとく
気持ちよいギターのリズムに乗っている。
そして「東京」の大合奏が始まった。
「東京の街に出てきましたぁ〜♪」
何章まで歌ったのか覚えていないが、腹の違和感はとっくに
忘れ、そのままフェードアウトしたような。しないような。
この夢を省みると
加山雄三が司会を務めた1986年第37回の紅白歌合戦。
確かに少年隊の「仮面舞踏会」を「仮面ライダー」
と言い間違えてしまった場面と。
森美術館でMOMA展と同時開催の
イリヤ&エミリア・カバコフ展「私たちの場所はどこ?」と。
やたらと血のりを噴射するシーンが多かった舞台「浪人街」と。
くるりの日本武道館のコンサートと。
ご存知一昨日の渋谷駅での発砲事件。
(実は5分前にその場にいた。)
などなど僕の体験の蓄積がアレンジされたものに他ならない。
あるデザイナーが趣味で牡蠣の養殖をしている話を
養老孟司の本で読んだことがある。
デザインと牡蠣の養殖。これは全く繋がっていないようで
実は、牡蠣の養殖を通して自然界との対話が
そのデザイナーのデザインに多大なる影響を与えている
という趣旨の解釈が加えられていた。
おそらく言葉の無い右脳の世界では
それぞれの体験がぐるりぐるりと一緒くたになっているのだろう。
改めてその中身の冒険が出来たようで
ウッディ・アレンの「誰でも知りたがっているくせに
ちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」や、
SF映画史上不滅の最高傑作「ミクロの決死圏」を
見たときと同じうれしさが蘇った。
しばらく、右脳を意識的に刺激してみることにしよう。