文化の日。

米の国の大統領選に盛り上がっていた日。
会社に向かう。相変わらず。いけてない。
 
店舗スタッフが一斉に集まる会議を前日にして
トップメッセージを布教するビデオを私に編集してもらいたいらしい。
ちゃんと説明すると違うのかも知れないが簡単に言ってしまえば
そう大した違いはない。
 
会社には暇な人間がいるものだと言わずにはいられない本部の人間が
日本全国を駆け回って収録した膨大な6本の60分テープを
早送りでチェックして、メモしたソースを一つ一つパソコンに取り込む。
 
たまたま会社で居合わせた後輩に
「中山さんていつも会社いますよね」と言われてしまった。
器用貧乏であることを恨みつつも、はにかんだ笑顔を返すしかなかった。
でも、そこで踏ん張って「会社のために最高のパフォーマンスを発揮していこうぜ」
なんて思っていもいないことを人事らしく力強く発言しながら後輩の肩をたたく。
後輩は目を輝かせて「はい。」と返事をする。なんと単純。
でもこれが我が社のカラーなのである。
休日というのに平日と見違えるほどの出勤率。
ほんと頭下がります。はぁ。
 
さて、合計360分のソースを1分にまとめてくれという無理難題な依頼。
作るからにはちゃんとしたものを作りたいし来期入社予定の40名ほどの
内定者も見るものなので、断りもせずなんとか3分の映像にまとめてみた。
 
手前味噌かもしれないが、やはり私には編集能力がある。
(いや休日1日失ったのだからこのぐらいのことは言わせて)
久しぶりのビデオ編集でもちゃんとそれなりのものが出来てしまうから驚きだ。
本部の会議から帰ってきた社長と一緒に突然鑑賞会となった。
(あんたが休まないから部下はこーなるんだ!)
「おぉ、中山やるやないけぇ」
(だから頼んだんでしょ。私に)
と何処と無く冷めていたい気もするが、「そーすかねぇ」と本心で照れる。
結論、私も単純なのである。
 
いいものが出来てほっとしてメールでも読んでみたら
自宅の上司から「こんなん思いついてみた」というメモが2通ほど送られている。
「やれるな。」「できるな。」というなんとも無責任な語尾が気になる。
でもそんなフラッシュアイディアを、おそらく「パパ、遊んで」と娘と息子にせがまれて
いるであろう中で部下にメールを送ってくる上司を嫌いにはなれない。
 
20時に会社を出て、Linさんと約束した新宿へと向かう。
何故新宿なのか不思議に思っていたら、直前まで
中野で用事があったからという単純な理由であった。
お互い月に1回とも来ない新宿で昔の記憶を辿りながらぶらぶらと夕飯の場所を探す。
(高校時代はもっぱら、池袋、新宿で遊んでいた。そんな危険なことはしていないが。)
 
なんとなく感じの良いタイしゃぶのお店に入り、辛いソースにつけた温野菜を
グァバジュースで流し込み、またデジオと身体性のお話である。
結論、大人になっても遊び心は忘れてはならない。
Linさんからはホワイトマンのお話を聞かせて頂いた。大変興味深い。
彼らもお遊びをまじめに貫き通している。今度舞台見に行こう。
 
Linさんは来年春にピースボートで3ヶ月の世界旅行に出かける。
直前の中野での打ち合わせはそのものだったらしい。
まだ会社にはそのことを打ち明けていない。休職するか辞めるかは
会社の反応次第なのだとか。でもワクワクする。攻めている。
 
入社5年目、6年目。ある程度会社でも認めれられそれなりの地位を確保している2人。
共通項は人間慣れると怠けるということだ。
入社当時はあんなに必死だったのに、「こんなもんでいいだろう」と手抜きになっている己に気が付く。
環境を変える。非日常に身を置くことは大切だと無理やり結論付けてみた。
 
Linさんの対話の中で分かったことが1つ。
自分が仕事についても、やりたいことについても、恋愛についても同じ価値観を貫いていたということ。
結局は自分善がりなんですな。反省する部分もあるけどそんな自分が愛しくなる気持も裏切られない。
こんな時代から人間らしくありたい。
 
日ごろ食べない食材でお腹一杯になり、渋谷まで一緒に山手線で帰る。
Linさんは大学の2つ上の先輩。私に今の会社を教えてくれた張本人でもある。
はっきり言えた事は転職するしないにせよ「教えてくれた会社に入って良かった」ということ。
この経験値と学んだことは何にも変えがたし、今後生きていく上で大切な種になるという確信が今ある。
SNSネットワークもデジオも無かった時代から、ものすごくシンクロし続けた大切な先輩に
素直な気持を告白できた。今日はそんな1日。